革製品の基礎知識
革とは??
生活シーンで使われる革製品(バッグ、財布、小物)などは全て”革”です。
しかし、革とは一体なんなんのか意外と知られていないですよね。
まずは皮と革の違いについて、簡単に分かり易く説明しましょう。
革と皮はどちらも「かわ」に違いはありませんが正確には、
動物から剥いだ状態のものを“皮”といい、
タンナーという職業の方々による”なめし”という工程を経たものを”革”と呼びます。
よって、製品になるものは全て”革”と呼びます。
皮となると、動物の皮膚の状態を指すのが一般的です。
革の色付けの方法
革の色つけには大きく分けて、2つあります。
それは、”染料仕上げ”と”顔料仕上げ”の二つです。
(コードバンやブライドルなどの特殊な加工の皮革は例外です)
まず、革の段階で傷1つ無いものは存在しません。
革を加工する人は、傷を隠すのか。傷を生かすのか。という部分の選択を行います。
この選択で、後にエイジングと呼ばれる、革の経年変化に影響がでます。
”染料仕上げ”はエイジングを起こしやすく、 時とともに美しい風合いへと変化します。
それに対して”顔料仕上げ”というのは、皮革の表面にペンキを塗るように色付けを行います。
そのため、顔料仕上げは傷を隠し、キレイな表面になりますが、経年変化は起こりづらいです。
正確には、経年変化しているのですが、表面に塗ってあるペンキが変化を隠します。
一般的に多いのは、顔料仕上げとなります。
本革=経年変化を起こすのではなく、染料仕上げ、もしくは色を付けていない素のままの状態の革は、経年変化を起こすのです。
ヌメ革などは素のままが多いです。
革の表情について
染料仕上げでは、革本来の風合いを出すため、以下のような特徴があります。
☆バラキズ
引っかいたような傷や、虫刺され、怪我などが痕になって表れたものです。
一見、爪で引っかいたようなあとに見えますが、立派な染料仕上げの証なのです。
顔料仕上げで傷のない皮革は、経年変化を起こしにくいのは説明しましたが、
この傷こそ、天然皮革の証なんです。
☆革らしいシワの表情(通称、トラ)
動物は生きている間に、当然皮膚にシワができます。
筋状に何本も走ることもあるシワは、革の証です。
革らしい表情を醸し出してくれる大切なものなんです。
☆色の濃度の違い
1つ革といっても、1枚の革で濃度やシボと呼ばれる、肌目の細かさが少しずつ異なります。
その変化こそ革の代名詞とも言えます。
同じものは2つとない、皮革製品の醍醐味です。
☆稲妻のように走る、皮革の証
稲妻のように革の表面は、ウシの血筋です。
筋状に何本も走ることもあり、革らしい表情を生み出してくれる
重要な要素の1つです。
このような表情も、天然皮革ならではですね!
使うほどに味が出る
革製品の醍醐味は、使うごとに味が出る、育てていく素材ということです。
日焼けや、手の脂などで、使ううちに革の色が深くなり、
ツヤが出てきて美しい表情を作り出します。
ヌメ革などは最初は硬いですが、使ううちに柔らかくなります。
独特のハリ感はそのままで、くったり馴染んできます。
味の出し方は千差万別、同じものは世界に1つもないと言えます。
革自体のクセもそうですが、使ううちに付く傷は
革製品を使いたおしている証。革にとっても嬉しい表情なんです。
さらに使えば使うほど、味が出ていく。
それは革にとっても幸せなことなんですね。